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Act.14

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Act.14




分厚い“何か”を手にして眉を顰めた
真面目な顔とか、そういう物ではない、何か――…
そう、何かを

彼は僕らの事を知っているのに
僕らは彼の事をあまり知らない






彼の姉であるジョゼットさんがこっちに来てから
彼は時々普段絶対に見せないだろう表情をする。

彼の手にある分厚い何かは、幾枚も重なったレポート用紙のようで所々が擦り切れている。
真っ白に綺麗な物ではないそのレポート用紙を捲っては

少しだけ、切ない顔をした。


数日前『それは何なのか』と問いかけた時、暫く悩んだ後
『変えられない過去、変えられるかもしれない過去』と言った。

彼の“何か”に関する物だというのはその言葉で良く分かる
ただ、彼が今迄過ごす間でここまで言葉を濁した事があっただろうか。


「シャルは、あの紙の束が何か知ってるの?」


『私と出会うより前から一緒に居るんだし』と続けたシア姉さんに僕は緩く頭を振った。
イズレーンまでくる道中、彼が眠る前にそれを見ている事は知っていた。
ただそれに関して深く追求する事はなかったし、彼がこうして言葉を濁す時点でお察しだ。

もっと確信をつく何かがあれば、彼は喋るかもしれない。
ヴァルトリエの実家に行った時、彼の家族に違和感を覚える事はなかった。
羨ましいとすら思った家族像がそこにあった、僕がそう思うのは当然だ。


面白くて、温かい家族――…


そんな彼がこれほどまで表情を歪める理由があるその紙が
僕も、シア姉さんも気になって仕方がなかった。


「能天気に生きてるんだと思ってた」
「は?」
「優しい両親がいて、綺麗なお姉さんがいて、温かくて、何不自由ないって」
「疲れる両親と何考えてるか解んねえ姉の間違いだろ」
「そう?でも――…僕にはないものだから」


切れ長の眸がゆっくりと瞬く。
徐に立ち上がった彼が、ポケットから小さな鍵を取り出した。


「なに、それ」
「倉庫にある箱の鍵」


僕が管理している倉庫に、小さな錠付きの箱があるのは知っていた。
それに何が入ってるのかという事までは、把握してないけれど。

その鍵をぽい、と放り投げた。

慌ててそれをキャッチすると、彼が頬杖をついて一言。


「もし向き合う気あるなら開けろ、まだその気がねぇなら開けるな」


その言葉一つで察する。
ああ、あの箱の中には僕に関連する、向き合いたくない物が入っている。


「…考えてみる」


本当に、うまい事話を逸らす。
この状況で先を聞くのは望めないだろうと、僕はぎゅ…と鍵を握り締めた。


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