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君を表す花の名は

Category: SS > お題SS  
13期お題SS12本目。
魔女の青汁さんとこの咲耶君をお借りして

お題サイト:花涙






【君を表す花の名は】


木目のテーブルの上に添えられた小皿には春を思わせる桜
こぽぽ…と静寂の中注がれた茶は香りがいい。

和室に不似合な装いの神父が『どうぞ』言葉を添え、スッと目前に茶を差出した。


「甘さ控えめで美味しいんですよ、ここの和菓子」


切り離された空間の様に静かな此処だけは時を刻む事さえ忘れているような
そんな錯覚に囚われ、男は静かに茶をすすった。


「こうしてゆっくりお話しするのは久し振りですね」
「嗚呼、そうだな。神父様はお忙しそうだ」
「そんな事は、ないんですけどね」
「他人のコトに」


ちらりと男が視線を向ける、ゆったりとした所作で茶をすすりふぅ…と一息。
曖昧な表情から笑みを模り神父は紡ぐ。


「それは、シュヴァリエさんも同じでしょう」
「いやー?俺は咲耶みたいに抱えてねぇからなあ」
「そうでしょうか、困った娘に手を焼いているのでは?」


菓子切りで桜の花びらを切り口にした神父が僅かに表情を綻ばせる。
つられる様に男もまた花びらの先を小さめに切り口に運んだ。

和菓子特有のくちどけ、さっぱりとした餡の甘みは確かに控えめで
甘い物がそれほど得意ではない男にも十分に美味と思える物だ。


「掬う事位なら、いくらでも出来る」
「…普通は面倒になって手を伸ばさない所だと思うのですが」
「その言葉はそっくりそのままお前に返すよ」


舌先に残る餡を流すように男は茶を流し込み、欠けた桜の花びらを見遣る。
その様子を見ていた神父が薄紫の長い髪を揺らし首を傾げ問うた。


「控えめの物を選びましたが矢張り甘すぎでしたか?」
「…いや、桜が甘くなったなァ、としみじみ」
「桜――…甘い、ですか?」
「少なくとも、ライラックに少し甘くなったように見える」
「それは――…そうかもしれませんね」

含んで笑った神父を一瞥した男は、桜の花びらを模した生菓子を一気に頬張った。


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